介護の社会化、在宅生活支援サービスは進んでいるのか?

2008年1月27日 00時48分 | カテゴリー: 活動報告

介護保険制度改正の現状と問題点

2006年4月に介護保険制度の改定が行われました。

【そもそも介護保険制度とは】
介護保険制度は高齢化社会に対応して2000年度から始まった社会保険制度です。介護状態にある人が介護サービスを利用する際にその費用を被保険者から徴収するだけでなく、国や都道府県、市町村が負担するものであります。
その内容は、介護の負担を社会全体で分け合い孤立した家族を支援し可能な限り住み慣れた自宅や地域で生活ができるよう柔軟なサービスを提供するというものであります。

神奈川ネットワーク運動・緑ネットは昨年度実施した連続講座「介護保険の基礎のキソ」の延長として緑区内で介護に携わっているメンバーを招き、学習会を今年度も開催しました。
その中から制度改定の問題点が浮かびあがりました。
【現状の問題点】
この改定は実際には財政支出削減のための給付制限であります。
①認定の問題
サービスを受けるためには、介護認定を申請しなければなりません。この認定の基準が厳しくなっており、またその調査の方法や担当者によって違いがあるようです。介護する立場からみて同じような状態の人でも認定結果に疑問がでている実態があります。
 また、「要介護認定」から「要支援1」「要支援2」(いわゆる予防介護状態)に変更になった人は、利用限度額が2割から4割削減されています。この軽度の人たちのホームヘルプサービスや、デイサービスの制限、福祉用具(車椅子、介護ベット等)が使えなくなりました。
今まで利用できていた人が認定が変わったために外出や起き上がりの機会が減ってしまっています。またレンタル業者も返された用具の回収や格納場所に困るなど、利用者と事業者が泣く構図になっています。
 この「要支援」の人への予防介サービスが改定の目玉にもかかわらず、利用者が少ない状況です。事業者も予防介護は手間がかかり利用を受けません。サービスを実施する地域包括支援センターは場所がわかりにくかったり、情報が伝わっていないなど、高齢者に使いづらいサービスが現状のようです。
②ホームヘルプサービスの不都合な制限
 利用者にとっても事業者(ヘルパー)にとっても使いづらいサービスはほかにもあります。
高齢者の通院に付き添う「通院介助」は喜ばれているサービスでありますが、病院への往復は、サービスの対象ですが、病院の待ち時間は対象外となり、ヘルパーのの待ち時間は無給となります。病院内は医療行為となり対象外という理由ですが、現実問題としていつ診療が終わるかわからないのが常です。いつも介護しているヘルパーだからこそ当人の状況を把握でき、介助が必要であるのに、耳が遠い、足がおぼつかない人が一人で安全で適切な診療が受けらでしょうか。現実的でない事例はまだあります。介護保険のサービスを補うため、自費で公的なものに連続してヘルパーに頼むことができません。それを受けるのは、ヘルパーの不正行為(利益誘導)とみなされるためです。
 またサービス利用限度額に余裕があっても、セットになっているため、ディサービスをではなく、訪問ヘルプサービスを増やしたいと思っても使えません。これも給付を制限するのが目的のように思えてしまいます。
【自分らしく自宅で暮らしつづけるために】
これまでにあげた改定の現状は、はじめにあげた介護保険制度の目的から遠のいています。
介護保険制度の導入により、介護サービスは行政の措置から利用者と事業者の契約によって提供されるサービスに大きく変化し、多様な事業者が参入しサービス量が増えたことは評価できるものです。地域密着型サービス業者の指定権限は市町村に与えられたことが改革法に謳われていますが、公によるサービス量の規制、サービスが単一施設・単一事業者に完結するのでなく、「より開かれた」可能性とすべきだと思います。市民・事業者の創意工夫を排除するような規制を取り除き、利用者がサービス事業者を自分で選択できる、利用しやすい制度とすることが必要です。
【市民が制度を理解し、自分のこととして声をあげるよう】
元気なうちはつい介護はひとごとになりがち。特に男性は介護されることは想定しても、介護する側になることの自覚は薄いのが実情ではないでしょうか。いつそのようになるかわからないのです。
介護保険の事業計画は3年に1回たてられ、2009年度に次の改定が行われます。そのため2008年度から議論がはじまります。
本来の介護保険制度の目的に沿い、安心して暮らせる持続可能な制度にしていくため、自らのこととして意見を出し合い、地域の中でふれあいのあるコミュニティ社会制度として築かれることが必要と考えます。

神奈川ネットワーク運動・緑ネット
代表   熊谷 暁