横浜市教育委員会への疑問!

2013年9月15日 22時32分 | カテゴリー: 活動報告

~全国に広がる教育委員会に対する政治介入~

 《横浜市市立中学校の副読本『わかるヨコハマ』に異議あり》

横浜市教育委員会は毎年市立中学校1年生に配布している『わかるヨコハマ』について2012年度版で関東大震災時の朝鮮人虐殺の歴史的定説とされている記述に2012年7月の横浜市議会府は議員の質疑により2012年度版を改訂し、「虐殺」の表現を削除し、「殺害」に表記変えました。そして、すでに配布されていた2012年版の改訂前(「虐殺」の表現があるもの)を回収続けています。

《『わかるヨコハマ』の経過

 ・2012年5月に『わかるヨコハマ』は2009年に配布されたものの改訂版として配布されました。

 ・6月25日には「産経新聞」の記事でこの「改訂版」に対して批判記事を掲載。

 ・7月19日に横浜市議会「こども青少年・教育」常任委員会で自民党の横山正人常任委員会副委員長が産経新聞の出した記事を引用して質問。これに対して山田巧教育長が内容の『不備』『改訂版の回収』を約束しました。

・その上で、横浜市教育委員会・指導企画課長名で各学校あてに「留意点」通知で、「横浜において朝鮮人等に対する迫害と虐殺に対する軍隊や警察が関与した資料は見つかっておらず誤解を招きかねないと指摘。中学生の心身の発達段階を考慮し、「虐殺」を「殺害」に変える指導をすること。を挙げています。

 ・その後9月28日には当初の改訂版に関わった事務局関係職員4人の懲戒処分を行いました。

・これに対して10月以降2013年の現在に至り、様々な市民団体により横浜市教育委員会に抗議文や公開質問状が提出されています。

 ・市民のこうした抗議行動に対しても横浜市教育委員会・指導企画課長名で「配布と回収について」通知が出され、副読本『わかるヨコハマ』2013年度版を中学1年生、2年生に配布し、中学2年生には2012年度版の回収を実施しました。

 ・横浜市教育委員会・指導企画課長名で学校長宛てに「再回収について」通知を出し、残っている対象副読本の再回収の徹底を図っています。

《『かわるヨコハマ』副読本の今回の問題点

 (1)軍隊・警察が虐殺を実行・関与したという記述を削除し,すべて「自警団」の責任にしてしまった。・・・軍隊・警察も当初はデマを信じて行動し,朝鮮人・中国人の虐殺に関わったという歴史的事実を無視しています。2012年9月の横浜市教育委員会の「指導上の留意点」通知では,東京方面での軍隊・警察による虐殺は認めながら,横浜では関与の確証がないというものでしたが,今年度版では一切の関与がなかったとされました。

(2)横浜での軍隊・警察の行動が正しく取り上げられていない。・・・1923年9月3日戒厳令が神奈川県に拡大され横浜に軍隊を派遣したとして4日朝到着の神奈川警備隊のみを取り上げたため,虐殺の激しかった2日,3日にすでに来ていた軍隊(海軍陸戦隊,陸軍歩兵第7中隊,陸軍騎兵第15連隊)を無視し,その軍隊・警察が当初は「不逞鮮人」のデマを信じ,それを煽り,虐殺を黙認,実行した事実が隠されてしまいました 。

(3)2012度版にあった「迫害と虐殺」「殺傷」「虐殺」「殺害」の語句がすべて「殺害」に統一されてしまった。・・・横浜市議会での一部議員の要求を無批判に受け入れ,「虐殺は主観的な言葉」(教育長答弁)「中学生の心身の発達段階を考慮」(市教委「指導上の留意点」)に従った結果です。「朝鮮人虐殺事件」は,主要な百科事典,歴史事典,国語辞典などでも共通に見出しとして使われている固有名詞ですし,中学校の教科書にも「虐殺」の語句は使われています。中央防災会議の文書でも「虐殺という表現が妥当する例が多かった」としています。一つの教育委員会の独断的判断で、「中学生の発達段階」にふさわしくないとして特定の用語を排斥することは許されません。 先日、松江市教育委員会が「はだしのゲン」の閲覧禁止通達し、多くの市民によって白紙に戻された件も同じ事です。

(4)「殉難朝鮮人慰霊之碑」の写真が削除されてしまった。・・・これは虐殺された人々に対する日本人の追悼と反省を示すものとして1990年版から2008年版まで掲載され,2009年版から一時とぎれていたのが昨年度版で復活した写真です。関東大震災90周年の今年度版であえてこの写真をはずす意図は何か,大いに疑問です。

<神奈川ネットワーク運動・緑ネットの見解>

 私たち緑ネットは歴史をしっかりと受け止め、関東大震災の被災された方々の証言を元に人権意識を守り、差別を助長することなく、後世に正確な史実を伝えるべきだと考えます。今回2013年版の『わかるヨコハマ』の改訂、2012年度版の回収は私たちの市民意識から問題を誤魔化す行為の何物でもありません。史実をしっかりと捉える表現を取り入れ、如何に誤った事実があったかを後世に伝えるべく、2013年度版の副読本『わかるヨコハマ』の再修正を行うべき、2012年度版の回収を即刻辞めるべきだと主張します。

神奈川ネットワーク運動・緑ネット

代表 熊谷暁