不朽の名作漫画『はだしのゲン』に圧力!全国に!

『はだしのゲン』とは
 1972年から「週刊少年ジャンプ」で連載が始まった中沢啓治さんの『はだしのゲン』は自分の戦争体験を基に原爆の恐ろしさを題材とする内容になっています。しかし、発行元の集英社は当時のオイルショックで紙不足に陥りページ数を減らせなくてはならない状況、やむなく『はだしのゲン』は連載を中止となりましたが、その後、雑誌に連載の場を移す事になりました。そして複数の出版会社から単行本として出版されました。この作品は世界各国でも高い評価を数十ヶ国で独自翻訳され閲覧出来ています。
 単行本だけでなく映画、テレビドラマ化もされ、戦争、原爆の悲惨さ、反戦・平和を訴えた名作なのです。その意義を認め、全国の学校図書室でも「平和教育」の一環として『はだしのゲン』は子どもたちが閲覧出来るようになりました。
【『はだしのゲン』への圧力】
 しかし、2012年8月に高知県在住の『在日特権を許さない市民の会』のメンバーより、松江市教育委員会は閲覧禁止の措置を取りました。この事が全国にも報道され、批判の声が多数寄せられた事を受け、松江市教育委員会は一度決めた閲覧制限の処置を撤回しました。
 松江市教育委員会の問題が浮上する以前には鳥取市立中央図書館でも2011年夏に閲覧・貸し出しの制限を行なっていましたが、8月1日の職員会議で閲覧出来るようになりました。
 また、2013年11月には大阪府和泉佐野市の市長と教育委員会では不適切な漫画として図書室から校長室に移すように要請。2014年1月には市立小中学校18校のうち蔵書として所有する13校から128冊を回収し保管しました。しかし、2014年1月21日の市立校長会からの撤回要望により、3月20日の教育委員会で回収していた図書を返却することを決定ました。
【横浜市、神奈川県での動き】
 横浜市、神奈川県でも2014年の春から「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーにより「青少年育成条例」に『はだしのゲン』は抵触すると、議会に閲覧を制限する「陳情」が出されました。これについては「実質的」に却下されています。
横浜市、神奈川県では学校教科書採択でも戦前の体制を翼賛する勢力「新しい歴史教科書をつくる会」系「自由社」「育鵬社」の圧力が強まっています。
 戦後日本が一度も直接的に「戦争」に加担せず、一人の犠牲者を出さなかった事は平和憲法のおかげです。市民がしっかりと学校教育問題に関心を寄せる事で、国政の今の暴挙の数々だけでなく、地域からの「危ない動き」がジワジワと推し進められています。しっかりと異議申し立て(監視)をして行かないと、未来を担う子どもたちが「戦場」に赴く体制になってしまいます。しっかりチェック機能を果たして行きましょう。

神奈川ネットワーク運動
緑ネット代表 熊谷暁