横浜市教育委員会!今回も「危ない教科書」を採択!

『横浜市中学教科書採択で育鵬社を採択』
今年8月5日に、横浜市教育委員会は、前回の採択に続き又も「育鵬社」の中学歴史と、公民の教科書を採択しました。
2009年の教科書採択では同じ右派、保守系思想集団とする「新しい歴史教科書をつくる会」の自由社版の中学歴史教科書が強行採決され、2011年の教科書採択では「新しい歴史教科書をつくる会」が分裂した「育鵬社」の教科書が採択されたのに続き3回目になります。

【「新しい歴史教科書をつくる会」とは】
1996年に結成された団体で、従来の歴史教科書が「自虐史観」的な表現内容としていること、戦前の軍国日本を肯定、南京大虐殺、従軍慰安婦の史実を否定、中国、朝鮮半島への侵
略行為も否定するとともに天皇の神聖化を謳い、教科書には神話が多く掲載されています。
アジア諸国はもとより、ヨーロッパ、アメリカの歴史学者からの批判も受けています。
 教科書検定審議時期になると、逆にこの団体が編集する教科書が注目され、この「偏重教科書」を拒む市民、学校、教育者関係者が採択への反対行動を起こしています。

【今回の採択の状況】
2015年8月5日、横浜市教育委員会は歴史・公民ともに育鵬社を採択しました。採決は教育長と教育委員5人計6人の無記名投票で行われ、
歴史 帝国書院3:育鵬社3
公民 東京書籍3:育鵬社3

の同数となったため、教育長の判断で歴史・公民とも育鵬社に決定しました。
採択のための審議会答申では、調査の観点ごとに該当する教科書名をあげていますが、歴史では、帝国と育鵬社が同数で、もっとも該当観点数が多く、公民では、東京書籍・帝国書院が同数で、もっとも該当観点数が多く、育鵬社・教育出版・日文が次点でした。
各委員の判断を永久に不明にする無記名投票を行ったこと、特に公民ではもっと評価数の多い2社もあったのに育鵬社にしたこと、育鵬社に対する答申の評価が不自然なこと、そしてなにより採決結果同数(3:3)後の教育長の最終判断理由に合理性がなく、特に公民については答申が尊重されなかったことなど今回も不透明な採択でした。

林市長2期目の選挙時に自民党と結んだ選挙協約には教科書に触れる内容があり、自民党関係者が「育鵬社を採択するという趣旨だ」と語ったことが報道されました。その後、中教審委員となり、カジノ誘致にも積極的な市長が、採択に影響を及ぼしたのではないかという疑惑は、今回の結果により払拭できなくなりました。

【未来を担う子ども達の為に】
戦後一度も直接的に「戦争」に加担せず、一人の犠牲者を出さなかった事は平和憲法のおかげです。市民がしっかりと学校教育問題に関心を寄せる事で、国政の今の暴挙の数々だけでなく、地域からの「危ない動き」がジワジワと推し進められています。しっかりと異議申し立て(監視)をして行かないと、未来を担う子どもたちが「戦場」に赴く体制になってしまいます。しっかりチェック機能を果たして行きましょう。

神奈川ネットワーク運動 緑ネット
代表  熊谷暁