はじめに「教科書連絡会」メンバーで元教師の高橋さんより昨年8月に横浜市教育委員会が「つくる会」の自由者版中学歴史教科書を採択した経過および問題点を整理し報告してくれました。次に同じく連絡会メンバーで元浜教組の古谷さんより、自由社版中学歴史教科書の具体的な記述の誤りを指摘して頂きました。
【浜教組の「資料集」はあくまで教師の教材である!】
メイン企画として一橋大学名誉教授の藤岡貞彦さんより「教科書資料集への批判問題って何?」と題して講演を行いました。
「横浜市教職員組合」(浜教組)の出した教師用教材は、あくまで「自由社版教科書」を使用しないものではなく、適正な授業を行う為の教材であり、教材使用については法律においても保証されているものです。これに対して教育委員会や教育長、横浜市議会が「浜教組」に圧力をかけていること自体が、憲法違反、違法行為であることを力説されました。
蛇足的な話として「つくる会」の藤岡信勝会長は今回の講師の藤岡貞彦氏と若かりし頃、教育問題について共に研究していた間柄だったそうで、いつの日からか突如「転向」され「右翼的な考え方になられた」との指摘もありました。講師の藤岡氏が分析するところ「つくる会」は徹頭徹尾「愛国教育」を謳い、「排外思想」に染まった怖い考え(わが国を戦争の出来る国にしようと画策している)にたっていると話してくれました。
集会の最後には参加者したメンバーで横浜市教育委員会に対する請願書と出版者の「自由社」に対する要求書を確認し、「『危ない教科書(つくる会)』採択」に今後も反対し、さらなる行動を共に進めることを共有しまた。
【「商品」として欠陥のある教科書は最低でも訂正するのが常識でしょ〜】
車、食品、電気製品などなど現代の社会で、その商品に欠陥が見つかった場合、リコール回収、製品作り直し、購入者に謝罪することは、当たり前の世の中です。
今回の「つくる会」自由社版教科書は明らかに間違い記述のある「欠陥教科書」です。専門の歴史学者、大学教授、現場の教師から具体的に指摘していますし、関心ある市民もすでに把握しています。(現実の話として授業をしていた教師に対して生徒から誤りを指摘された事例もあります)
「思想的な内容」を抜きにしても、学校教育の場で誤った記述のある教科書を訂正もしない「自由社」の態度はどう理解すればよいのでしょう。それ以上に教育委員会の対応も問題があります。現場の教師はもとより、誤りのある教科書を使わされる生徒の身になって真摯に対応して欲しいものです。
【教育委員会よ、しっかりしてくれ!】
横浜市教育委員会も神奈川県教育委員会も「良識」が問われます。単純な誤りのある教科書、さらに内容として「危ない教科書」が、このままでは来期は横浜市の小学校1学年あたり約3万200人、中学生は約2万6000人が使わされる可能性もあります。こんな恐ろしい状況にならないよう教科書採択を全市一区採択にするのではなく、各現場の声を生かした18区採択制にまず戻すべきです。市民、良識の声に耳を傾けて下さい。「誤り」を誤りと認めないとするならば、後世、その恥を語り継がれることになります。責任は付き纏います。
神奈川ネットワーク運動・緑ネット
代表 熊谷 暁