介護保険制度の現状と問題点 part2

制度改正内容を見直そう!

介護保険制度改正のその後
2006年4月に改正施行された介護保険制度はどのように運用されているのか?私たちは改正経過を踏まえ、実際に介護事業に携わっている方を交えて学習会を開催してきました。そこから見えてきた課題・問題点を指摘すると共に、5年毎に内容の見直し・改正する介護保険制度に対して一石を投じたいと考えます。

介護保険制度の現状と問題点
①地域包括支援センターの体制の見直し(専門スタッフの増員と報酬アップの必要あり。)

少人数の専門常勤者によって担われている中で、行政に提出する事務書類が多く、増える一方の対象者のケアプランつくりに追われ、本来の役割としての地域とのつながりを強めるまで担いきれていないのが実情です。
介護報酬もその働きの内容に見合った報酬額とはいえません。神奈川ネットワーク運動が県内で地域包括支援センターに聞き取り調査した結果、職員の離職が3年以内とのデーターが出ている行政区もあります。手厚い介護サービス行政に携わるには、人員確保が必要であり、それには内容に見合った報酬を確保すべきと考えます。

②地域支援事業・特定高齢者施策は充分に活用されてない。(内容の見直しが必要。)

市民に十分に周知、理解されているか疑問が持たれます。解っている人でも、手続きが面倒だったり、本人が特別視(基礎情報を聞き出されること等また「特定」と言う呼称に抵抗感あり)されるのを嫌がるケースも出ています。実際、対象者を見つけ、利用する人を探し出すのが難しい状態です。特定高齢者対象になっても、断わる人が多く、プランに結びつかないのが実態です。
また地域包括支援センターのエリア区分けにも難を抱えている方もいられます。身近に一番通いやすい場所のセンターは管轄が違うだけで、離れたセンターを利用しなくてはならず、不便さを感じる人も少なくありません。もっと柔軟に利用出来る枠組みを考えるべきです。
結果として事業として参加者も少なく、介護保険制度として「費用」対「効果」が得られていない状況もあります。

③介護報酬について(介護に従事する人が安心して有意義に働ける報酬内容にすべきであると考えます)
介護報酬が低く抑えられている為に、継続し働く人が少なく、人材確保が難しい状況です。介護福祉の重要性・役割を考えると、もっと報酬体系の見直しが必要と考えます。特に専門性を要する仕事が故に継続的に働く環境、体制が求められます。来年度は報酬内容の変更(3年に一度の見直し時期であります)です。国は介護保険改正に際し、職員の離職率を抑える手立ての一つとして、介護報酬のアップを是非とも行って欲しいものです。現在、緑区には8か所の地域包括センターがあります。

④その他の問題点
・要支援と要介護の認定変更による手続きとケアマネージャーがその度に変わり対応が難しい。制度を利用する人にとっても不便さがあります。役割、区分け内容の見直しも必要です。

・要支援1、2の人はケアマネージャーを選べないし、金額だけの制限でなく、ヘルパー派遣は週2回などの制限があり、サービスを選ぶこともできないです。家事支援は実質。1時間半(法律上は1時間以上となっている)に制限され、自立支援の為の余裕(買い物、料理など)がない状態です。

以上、緑ネットでは地方自治体としての横浜市に対し、国政に反映してもらえるよう要望していきます。

神奈川ネットワーク運動
緑ネット 代表
熊谷 暁