7/22ミニフォーラム「神奈川県食の安全安心の確保推進条例とクローン食品問題」を開催しました。講師として県会議員の山本裕子さん(神奈川ネットワーク運動)を招いて条例制定までの経過、ポイントを。そして現在、多くの市民が気づいていないクローン食品の問題について問題提起してもらいました。参加したメンバーとはいろんな視点から話し合いが出来、とても有意義な時間となりました。
【神奈川県食の安全安心の確保推進条例】
「食の安全安心の確保推進条例」については、生協や市民団体から「神奈川にも食の安全安心を確保、点検出来る条例」が必要と県に対しての署名活動が功を奏し、議会を動かした経緯があります。条例制定に向けて議会の多数派とされる自民党がどう動くかがキーとなりましたが、今回の案件に対して積極的に係わる議員がいて、制定の方向にスムーズに動きが出来たようです。
首都圏内において、遅ればせながらも「食の安全安心」に関する「条例」がやっと出来たことは、神奈川における「食の安全行政」体制整備の一歩を踏み出した事として評価出来ることだと思います。これからは制定された内容がどう行われ又、条例に関連する法案および今後の議論をしっかりと「市民目線」でチェック出来るかが問われます。特に「監査委員会」の役割、また「遺伝子組み換え作物に係わる措置」は大きいと考えます。
【クローン食品はすでに流通されていた!】
講師の山本裕子さんのHPで報告されていましたが、クローン牛(受精卵クローン牛)がすでに私たちの食卓に上がっています。国会の議事録でも確認出来ますが、大臣をはじめ閣僚、関係者が答弁しています。
受精卵クローン牛は2008年9月30日の段階で716頭が誕生、食肉用に回った数は314頭もいます。表示義務も任意としています。(2000年3月に行政通知として「受精卵クローン牛ないしCビーフ」と表示する要請するも、3月以降出荷された215頭の内、102頭は表示したが110頭については表示されなかった)。私たち市民は知らず知らずの内に口にしている可能性があるのです。恐ろしいことです。
クローン動物には受精卵クローンと体細胞クローンがあります。現在クローン牛、豚類の開発は体細胞クローンが主流のようです。1996年7月に世界を驚かせたクローン羊の「ドリー」と言えば皆さん記憶にあると思います。ドリーも体細胞クローン技術で誕生しました。
【クローン食品の問題点】
2009年3月12日、食品安全委員会が、体細胞クローン家畜を食品として安全だと評価を出しました。これを受け、市民からパブリックコメントを募集し、712件の意見書が寄せられ、そのほとんどが「安全性に不安がある」「気持ち悪くて食べたくない」などの否定的な意見が多かったそうです。
体細胞クローン家畜の実験では死産や生後直後の死亡率が高いとされています。体細胞クローン牛は誕生して10年しか経っていません。本来、牛の寿命は約20年と言われており、今後どのような変化が起こるかも検証されていません。こんな状態の中で安全宣言をして良いのでしょうか?
アメリカでは体細胞クローン家畜を安全と認め、販売許可がなされています。日本国内に対する外国からの輸入圧力が強まる可能性は大きいです。
私たち市民にとって最低限の要求は、クローン食品はどこで、どのような形で、つくられ、流通されているか、そして何よりと製品としての表示義務を明らかにし、クローン食品であることを、食べる側に分かるようにすることを求めます。購入する際の判断材料を明確表示することです。
クローン食品の問題は「安全性」の問題はもとより、生命倫理、環境への影響など多岐に渡っています。
緑ネットはこれからも「クローン食品」の問題を追求していきます。
神奈川ネットワーク運動・緑ネット
代表 熊谷暁