「2/18神奈川・横浜の教科書採択が危ない!」市民集会に900人が結集!

戦争賛美と憲法敵視の教科書を採択させない市民集会

 2月18日(金)午後6時30分から「関内ホール」において「神奈川・横浜の教科書採択が危ない!」〜戦争賛美と憲法敵視の教科書を採択させない市民集会〜が、開催されました。当日は900人の参加のもと、熱気に満ちた内容の濃い集会となりました。主催は「横浜教科書採択連絡会」。「採択連絡会」では、この間、200〜300人規模の集会を企画してきました。
 今年は「危ない教科書(自由社・育鵬社)」との闘いの「正念場」として位置付けられます。横浜・神奈川の多くの市民に反対の声のうねりをさらに高める為、1000人規模の大集会を企画することになったのが経過です。
 今回予定される教科書採択では、つくる会系の「自由社」、つくる会から内部分裂した「育鵬社」が教科書採択の教科書に名乗り出る予定で、「歴史教科書」と併せて「公民教科書」の2種類が出版されますので、各出版社2種類×2社で4種類の「危ない教科書」が登場します。
【2/18「危ない教科書」採択反対市民集会の内容・様子】
 当日の集会では、最初に「金沢教育を考える会」メンバーによる寸劇が披露されました。劇を通じて、自由社教科書がどのように採択され、また問題点がどこにあるか的確にまとめてアピールしてくれました。
そして今回の集会の目玉とも言える講演は小森陽一さん(東京大学教授・全国9条の会事務局長)が「教科書問題と憲法に基づく歴史認識」と題してお話をしてくれました。とてもわかりやすく、しかも核心をついた提言、ウィットの効いた、ジョークも交えた話しぶりには、参加された皆さんは聞き惚れ、その上で「自分達が何を今やらなければいけないか」決意した次第です。
小森さんの講演の要旨として、はじめに横浜市教育委員会の異常な採択手続きとその後について話されました。採択をめぐる4つの異常として①審議会の意見を完全に無視 ②歴史教科書だけに無記名投票を取り入れる ③今田忠彦教育委員長と「つくる会」藤岡信勝会長との不正疑惑 ④横浜市教科書採択地区18地区を1地区化したこと。
2番目の問題点として浜教組の「中学校歴史資料」に対する攻撃について触れられ、「つくる会」の請願と陳情=国家による教育内容統制を現場に引き入れる役割をもったことを痛烈に批判されました。
 これらの横浜市教育委員会の事例を踏まえ、横浜から神奈川へ、そして全国へと「教育再生機構」(育鵬社)や「つくる会」(自由社)の「危ない教科書」が何を狙っているか具体的な事例を基に説明してくれました。
集会に参加された皆さんが一番、感心された問題点は、今までの「つくる会系右派」がしきりに謳っていた直接的な「天皇制」「君が代日の丸」賛美のナショナリズムから間接的な働きかけとして領土ナショナリズムへの働きかけが強まってきているとのこと指摘です。昨今の尖閣諸島問題や北方領土問題をめぐる国民意識を煽動させるナショナリズムを「危ない教科書(自由社・育鵬社)」が矛先を向けているものです。
 小森さんは具体的な歴史事象に基づきお話しがありました。日本が戦争に敗戦、その後に結ばれた協定等に「意図的に仕組まれたアメリカ」の罠(あいまいさ)を残すところに火種をつくっていた事を指摘されました。聞いていた皆さんは目から鱗がとれる思いだったのではないでしょうか。
 「つくる会系右派」の「危ない教科書(自由社・育鵬社)は「領土ナショナリズム」を最大限活用させながらの「草の根運動」を展開し始めています。「つくる会系」の「歴史否定派」のこの攻撃に対しては、「憲法9条」を持ち、その平和精神を尊ぶものたちの「草の根運動」による結集によって、「危ない教科書」に反撃すべきと檄を飛ばしてくれました。
最後に集会参加者一同で集会アピールを行い、今後の運動展開に弾みをつけたい決意を確認し合いました。
【3/8横浜市教育委員会は請願・陳情を教育長に一任の先決、規則改正を断行!】
 3月8日の横浜市教育委員会において、今までは教育委員会に付議されていた教科書採択などの重要項目に関する教育委員会請願・陳情を、教育委員会に付議せず、教育長が処理できるよう規則改正を行いました。
 これまでは、教科書などについての教育委員会請願や要望書は、全て教育委員会の案件として教育委員会会議の議案書に綴られ、教育委員の審議に付されて処理されていました。傍聴すればどのような請願が出され、どう処理にされたかは判りました。3/8横浜市教育委員会では、教科書採択に関する請願が多く寄せられ、同じ回答を繰り返していることを理由にあげて、今後は教育委員会が指定した項目については、教育長の専決処分ですませることができるよう規則改正を行ったものです。
 今後は、横浜市教育委員がこの項目については教育長一任と言えば、どんなに深刻な内容であっても、多数提出されていても、教育委員の目にさえ触れず、教育長段階で勝手に処理していいということです。教科書に関する請願は、提出したとしても、おそらく今後は一切教育委員会には出てこないでしょう。それとも、横浜市教育委員会に都合のよい請願だけは出てくるということもありうるのです。横浜市教育委員会が気に入らない請願は、誰も知らさせられないことも出来るのです。
 横浜市教育委員会が2009年の「新しい歴史教科書をつくる会」自由社版中学歴史教科書を採択後、続々とその実態(失態)が明らかになる中、またしても全国に横浜市の「恥ずかしさ」を曝け出してしまいました。「より民主的、より公平さ」を望む市民の声を置き去りにした横行です。是非、皆さん横浜市教育委員会に声を出して行きましょう。

神奈川ネットワーク運動・緑ネット
代表  熊谷 暁