「日本学術会議」特殊法人化法の強行採決に反対します。
6月11日の参議院本会議において自民、公明、維新の会等の賛成多数で日本学術会議の特殊法人化法が成立しました。
この法人の問題が社会的に大きく取り上げられる事になったのは、2020年当時の「菅義偉総理による学術会員候補とされる6人(芦名定道・京都大学教授、宇野重規・東京大学教授、岡田正則・早稲田大学教授、小澤隆一・東京慈恵会医科大学教授、加藤陽子・東京大学教授、松宮孝明・立命館大学教授)が、何の理由、根拠も示されない中、任命を拒否された事です。当時の与党勢力はこの問題を曖昧にしたまま、一方的に日本学術会議の組織改変に出て来たものです。
そもそも日本学術会議とは、科学が文化国家の基礎であるという確信の下、行政、産業及び国民生活に科学を反映、浸透させることを目的として、1949年(昭和24年)1月、内閣総理大臣の所轄の下、政府から独立して職務を行う「特別の機関」として設立されました。
日本学術会議は、過去に「戦争を目的とする科学研究には絶対従わない決意の表明」と「軍事目的のための科学研究を行わない声明」を発表しており、軍事研究に否定的な立場をとっています。これは、科学者が戦争に協力した過去の反省や、再びそのような事態になることを防ぐためとされています。
そんな存在の学術会議が現行制度からの「独立性・自律性の後退」や「学問の自由への脅威」を危惧すると多くの学者、科学者、弁護士、市民によって法案に反対してきました。国会で議論される前から全国で反対運動が行われ、採決前には国会を囲む「人間の鎖」も行われました。
弁護士会では具体的には、(1)首相任命の監事による監査(2)活動計画や自己評価に対する内閣府の評価委員会の関与(3)外部者による選定助言委員会や運営助言委員会の設置(4)最初の会員選任への政府の関与(5)補助金など外部資金で運営(6)会員の秘密保持規定と罰則の導入―など政府の意向に縛り付ける仕組みを定めるものとしています。時の政治権力から独立した立場で、政府に対し、科学的根拠に基づく政策提言を行うナショナル・アカデミーとしての学術会議の根幹をなし、学問の自由(憲法23条)に由来する独立性・自律性が損なわれるおそれが大きい。とされています。現行法で学術会議が職務を「独立して」行うと定めた3条の文言が法案で削除されている点を最大の問題として指摘。法案では、選定助言委員会、運営助言委員会、日本学術会議評価委員会、監事という4つの外部機関が新設され、政府を含む外部からの介入を可能にする仕組みが盛り込まれていると批判した。 また、諸外国で標準的な会員選考方式「コ・オプテーション」(現会員による候補者推薦)が多様な関係者からの推薦義務化により損なわれる点や、国庫負担から補助金制度への変更で財政基盤が不安定化する懸念との指摘です。
今国会で十分な議論がなされず強行採決された日本学術会議の特殊法人化に伴い学術会議は、来年の10月に新たなる法人としてスタートする予定と。
我が国の右傾化に伴い学校教育、教科書も戦前を美化する動きもあり、また今回も「防衛費」も今まで以上に強化されています。
世界では2022年のロシアによるウクライナ侵攻による戦争、イスラエルによるガザ侵略行為、つい最近ではイスラエルのイラン攻撃等々、世界各地においても内戦状態の国が多いこと。
この時代だからこそ、世界で唯一の被爆国である我が国が「世界平和」に対する役割が求められると思います。
私たち緑ネットは反戦・平和、学問の自由を守る為に、「日本学術会議」の特殊法人化に反対します。
神奈川ネットワーク運動 緑ネット
代表 熊谷 暁