来年の教科書採択が危ない!つくる会自由社版教科書採択阻止へ!

「11/26戦争賛美と憲法敵視の教科書を採択させない市民集会」開催されました。

11月26日(金)午後6時30分から「かながわ県民センター」大ホール(2F)にて、新しい歴史教科書をつくる会の自由社版教科書採択に反対する市民集会が「横浜教科書採択連絡会」主催のもと開催されました。当日参加者は約220名。
はじめに連絡会事務局より昨年8月に横浜教育委員会において市内8区の市立中学校に「自由社版中学歴史教科書」が採択された経過、その後の動きについて説明があり、実際今年の4月から教科書が使用されている状況の中で、いろいろな動きについて報告がありました。
次に講師としてお願いしていた横浜国立大学准教授の金馬国晴さんによる「自由社版中学歴史教科書」と「帝国書院」「東京書籍」の3社で、どのような表記、表現の違いがあるか。
そして、その中で「つくる会の自由社版教科書」の持つ特徴を言い表して頂きました。
また、横浜教科書研究会のメンバーからは「日露戦争」を中心とする記述内容を解説してもらい、そこには自由社版教科書の一環した支配者から視点に立った表現内容でつづられていることの指摘がありました。本来は当時の支配者と併せ国民、民衆サイドの視点から歴史をひも解くことが大事であり、「本来の歴史教科書の意義」は、まさにそのことが大切であることを力説されました。

【「つくる会の自由社版中学歴史教科書の問題点」】
横浜市教育委員会がつくる会の自由社版教科書を採択した問題は内容以前に手続き的にも大きな問題をはらんでいます。現場の意見も無視し、採決にも無記名投票とする無責任な体制、体質を浮き彫りになっています。(*詳しくはバックナンバーをご覧下さい。)
そして、実質的な内容に関しては全史を通じて戦争を美化し、「愛国心」を強いる思想内容のものです。お粗末なことに、歴史的事象に対しても間違いだらけの「欠陥教科書」になっています。多くの学者、現場教師、市民からの指摘により、さすがに「訂正箇所を示すパンフレット」を11月に対象となる生徒に配ることになりました。しかし、指摘された訂正箇所は教科書に掲載された裏焼き写真に対してのみです。本筋とする事実を歪める文章表現には一切触れられていません。出版社としての体をなしていません。今年に横浜市の8区の71の学校で採用されで、自由社は教科書シェアを1%超えとなり、益々その影響力を強めようと画策しています。

【横浜教職員組合(浜教組)への「問題指摘」は的外れ!】
つくる会および右翼的な団体からの横浜市教職員組合への攻撃は、あたかも自由社中学歴史教科書を使わないかの「反動な煽動」としていますが、「浜教組」の作成したものは授業を行う上での適切な教材であり、教材使用については法律でも保障されているものです。(教育公務員特例法21条、22条。地方公務員法39条参照)
「浜教組」の発行した資料集は誤りだらけの自由社版欠陥中学歴史教科書を生徒に正しく教える為の適正な教材です。
もう一つ、浜教組の発行した『浜教組教文ニュースNo.179資料中学歴史教科書資料集』を学校ポスト(メール)で配布したことは、組合と当局との便宜供与の範囲内の行為であり、不当労働行為でもないのです。
横浜市教育委員会が「浜教組」に4月28日付けで執行委員長宛てに「警告書」を出す行為は、法律でも保障されている教職員組合の自主研修教材を誤解した上での不当な介入にほかならないのです。

【横浜市会への「意見書案」は否決されました!】
 一連の横浜教職員組合に対する攻撃が続いている中で、つくる会教科書に賛同するメンバーにより、11月26日横浜市議会に対して意見書が出されました。
公立学校教職員・教職員組合の教科書についての活動の法規制を国に求める「公立義務教育諸学校に勤務する教育公務員等の行為の制限に関する意見書」案は、26日午前の本会議冒頭に提案され、民主党、自民党、共産党から意見表明がありました。
 民主党・共産党の反対意見のなかで、今回の意見書案の不当性が指摘されるとともに、自由社版歴史教科書の内容の問題点や採択手続きの不明朗な経緯がわかりやすく紹介されたため、林横浜市長はじめ他の議員・職員が、自由社採択の問題点を認識する機会にもなったと思われます。
 提案者の自民党からのヤジはひどいものでしたが混乱には至らず、ただちに採決が行われ、意見書案は賛成少数で否決されました。(賛成37:反対54)

<意見書採択に対する各議員の判断>

賛成—自民27・ヨコハマ会議5・太田正孝(磯子)・伊藤大貴(緑)・大桑正貴(栄)・串田久子(中)・片桐紀子(南)

反対—民主22・公明16・共産5・ネット横浜4・民主クラブ4
・若林智子(神奈川ネットワーク運動)・井上さくら・横溝富和

今回賛成票を投じた議員に対しては、しっかりその人の考え・思想性を押さえ、次回の選挙には「良識ある市民」として、その責任性を投票に反映させましょう。

神奈川ネットワーク運動・緑ネット
代表  熊谷 暁