11/28種市尋宙 先生講演会開催

サイエンスカフェ

〜コロナ禍でのこどもたちをまもる〜

富山大学医学部小児科種市先生                         

オンライン講演会のお知らせ

日時 11月28日(日)10時〜12時

共催 神奈川ネットワーク運動二宮、磯子、旭、緑、とつか

コロナ禍で不便な生活を強いられている子どもたちの育ちを考えながら、富山市と富山教育委員会に14回も提言してこられた、種市先生のお話しを聴くという学びの場を企画しました。

子供へのマスク、子供へのワクチン、コロナ禍の子どもたちにとって何が最善なのか考えて行きたいと思います。

オンライン講演会(無料)

お申し込みいただきましたらzoomアドレスと資料をお送りします。

なお、オンライン講演会の視聴会を同時に行います

日時: オンラインと同時刻

戸塚女性フォーラム(男女共同参画センター)

セミナールーム3

戸塚駅西口徒歩4分

資料代:300円

連絡先:神奈川ネットワーク運動 緑ネット代表 熊谷暁(携帯電話 080-5036-4759)

種市尋宙  PROFILE:富山大学附属病院小児科 診療准教授。専門は小児救急・集中治療。とくに子どもの事故予防や感染症危機対応、子どもの命・終末期医療について活動している。現在、富山市立学校新型コロナウイルス感染症対策検討会議座長。4人の子どもがいる。

富山大学小児科講師 種市尋宙氏インタビュー

 新型コロナウイルスに感染した患者への差別が、各地で問題となっている。富山大学小児科講師の種市尋宙氏(写真)は、感染した子どもに対する差別や偏見の対策に奔走し、「医療者の正確な情報発信が重要」と語る。話を聞いた。

私は新型コロナウイルス感染症の重症患者の対応をする医療機関に勤務していますが、小児の重症例はほぼなく、患者家族等の話を聞いて、患者差別の対応にこそ力を入れる必要があると感じさせられています。
地方において、新型コロナに感染した患者へのバッシングは深刻です。
近隣の県では、感染した子どもがいじめにあい、転校したという事例を聞いています。また、患者が通っていた学校は、SNSで攻撃され、抗議の電話が殺到することもありました。富山県で最初に感染したとされている成人患者に対しては、実名や写真などがインターネットで公表され、実家への嫌がらせなどもあり、家族も被害に遭っていたようです。

報道姿勢巡り地元紙と懇談

この要因の一つに、報道の姿勢があったと思います。地元紙は当初、最初の患者の属性やその後の感染の広がり方を、関係図を作成するなどして詳細に報道しました。県民には新型コロナウイルスへの恐怖心が植え付けられ、メディアがそれを煽る形になってしまい、結果として患者を排除する方向に向かったと思います。
感染した高校生の学校名や性別、行動履歴などを1面で大きく公表した報道もありました。さすがに許されないと感じ、地元紙と懇談し、医学的見地からみても感染拡大の防止に寄与しない報道だと伝えました。幸い、相手方は真摯に受け止めてくれて、現在はそのような報道はありません。
同時に、富山市教育委員会とも検討を重ね、感染者の学校名は公表しないという方針になりました。こうした情報は必要最低限の関係者が共有すれば十分で、広く報道する必要はありません。

「子どもは重症化しづらい」と説明

休校期間中に新型コロナウイルスに感染したお子さんを持つご家族から「いじめを恐れ、転校を考えている」との相談を受けたことがありました。児童たちは転校したくないと言っていました。
そこで、この感染症の正しい知識や、差別・偏見は許されないことを伝えようと、教員等を対象に講演会を開催しました。子どもは感染しても重症化しづらいこと、ウイルスの生存期間からみて、学校再開後にその子たちが原因で感染する危険はないことなどを伝えました。保護者向けの説明会も行いました。
結果、周囲の理解を得て、児童らは問題なく復学することができました。現在も学校による見守りで、感染した他の児童にも問題は確認されていません。

根底にウイルスへの恐怖心

患者に対する差別の根底には、このウイルスに関する恐怖心があると思います。ですから私たち医療者が、専門家として正しい知識を発信していくことが重要ではないでしょうか。
たとえば、わが国では新型コロナウイルスに感染した子どもの重症化事例は非常に少なく、死亡者もいません。さらにインフルエンザなどと比較して子どもから大人(高齢者など)へ感染が拡大することははるかに少ない状況です。
私は小児科医として、こうした情報を伝え、教師や教育委員会とともに子どもの日常を取り戻していく取り組みをしています。この積み重ねが人々の恐怖心をやわらげ、差別の対策にもなると考えています。

全国保険医新聞2020年10月25日号より)